ここ数日間、「木」について、或いは森について時間を掛けて考察しております。
某所で「木」の伐採について熱く議論が展開されています。共感される方にとってもそうではない方たちにとっても、どちらの意見もとても参考になります。
中でも多く聴こえて来たのが、「木と会話なんて本当に出来るのだろうか?」と言う疑問とも異論ともつかない声でした。
そこでこの記事では、あくまでも私がこの数年間で習得した「木と話す方法」或いは「木と親睦を深める方法」について、私なりの言葉でシンプルにまとめてみたいと思います。
興味のある方もそうではない方々も、それなりの読み方でさらっと目を通して頂けると有難いです。
木と親睦を深める方法
①先ず、仲良くなりたい木を決める。
人間でもその他の動物でも、誰彼構わず親睦を深められるわけではありません。各々ものには相性と言うものがあり、中にはどうしても相いれない同士と言うものがあります。
木々にも個性や習性、癖等があります。頑なな性格の木があれば、それとは逆に外交的で饒舌な木も存在します。
最初は比較的外交的な木と仲良くなって、木々がどんな言葉や音声を発するのかについて学んで行くことも必要かもしれません。
②なるべく多くの時間を遣う。
木々は言語ではなく、特殊な音や香りを発しながらお目当ての相手との距離を縮めて行く習性があるようです。
あくまでも私の場合ですが、言葉ではなくつむじ風のような音を偶然聞き取れるようになり、そこから彼等の声をキャッチ出来るようになりました。
勿論風の音ではなく、もっと別の音声を感じ取るタイプの人がいるかもしれないので、木々が自分に対してどのような方法で会話を試みているのかについて探る為、木々に逢いに行く時は数十分から数時間単位の時間を費やしてみたら好いと思います。
③木々の些細な動きや変化を敏感に感じ取る。
木々は基本、人間のような小刻みなサイクルで活動することが出来ません。
ですが長い長い時間を経て物凄く長い距離を移動したり、或いは弱った木に対して根っこを通じて養分や水分を補給しながら互いに助け合い、支え合うことが出来ると言われています。
私の経験では、私を気に入ってくれる木の前を通りかかると、そのタイミングに合わせて一瞬ですが甘い香ばしい香りを放ちます。
又、木々の多くはテレパシーを使って意思の伝達が出来るようです。そのテレパシーを使って、木々が好む香りを送って来たり映像を送信して来たりします。
それは必ずしも人間の感性にフィットするものばかりではないですが、人がハーブの香りを好む様に似て、一部の木々が(特に)草食動物が排泄した便の匂いを好むことに私も最近気が付きました。
そして彼等はその情報を、他の木々たちに伝達し、共有する習性があるようです。時と場合によっては一個の話題に花が咲くと、一日から数週間をその話題のシェアに費やすこともあります。
木々は全身で会話をします。
彼等は身体的な動きを苦手とする分、自然の力を協力し合いながら他の生き物に話し掛けたりアクションを起こすこともあります。
例えば風の力を使って葉を揺らし、私の肩に触れたり水滴を落としてコミュニケーションを試みることも多々あります。その水滴には温度があり、冷たい場合や温かい場合があります。
又、雨の日は、葉を少しだけ大きく広げて雨粒を全身に受け入れようとします。そしてその下を通る人間や動物にとってはそれが傘となり、私たちと木々の心地好い共存関係がそこにも確かに発生していることに気付くことが出来ます。
④言語野に限定した思考を一旦手放す。
テレパシーと言うと多くの人たちが「言葉」を相手から引き出すことを考えがちですが、これでは特定の言語を話せる同士の限られた会話しか出来なくなります。
例えば美味しいお料理を頂く時に、料理から言葉を得ようとする人はいませんし、美しい絵画を鑑賞する時に絵画から言語でメッセージを受け取ろうとする行為も不自然であるように、人間の言葉に限定せず「相手の思考形態」に寄り添ったものの考え方を知ることがとても重要です。
花には花の言葉があり、低木には低木のコミュニケーションの手法が各々存在します。それは木にも同様に言えることであり、木と言っても種によってその言語は人間の言葉以上に違いがあります。
兎に角相手の動作やちょっとした動きに目を見張り、どんな時どんなタイミングで彼等が変化を起こすのかを知ることが、彼等の言語に一歩も二歩も接近出来る重要な手掛かりになります。
⑤季節は芽吹きの時、或いは花粉の時期。
私の経験では木と仲良くなるにはタイミングが重要で、数年の試行錯誤を繰り返すうちに彼等が早春、多くの花粉を飛ばす時期や花を咲かせる時期が彼等と親睦を深めるにはベストなタイミングであることに気付きました。
人間でもそうですが、「多くの生き物に自分の存在を気付いて欲しい」と思う時期が木々にもあるらしく、女性がお洒落をして街を歩きたくなる衝動に似て、木々が花を付ける時期がそれにあたるようです。
なのでそういう時に「綺麗ね。」「可愛い。」「美しいわね。」と言いながら写真等を撮影してあげると、「うふっ。」と言って微かに木々が微笑む感覚を共有することが出来ます。
逆に秋から冬の木々は寒さに対しミュートする習性があるので、ほぼ眠ったような状態でいる時間が長くなる為、親睦を深める時期としては相応しくないようです。
又、木々と接する時間帯は朝から日没前の時間帯がベストで、夕暮れ以降、夜間は木々たちは静寂の思考に入る為とても不機嫌になるようです。
少し時間を必要としますが、兎に角人も木も「褒める」ことで仲良くなれることには相違ありません。
心に不愉快な感覚が発生している時は、出来れば余り木には近づかないことをオススメします。木々がそれを他の木々たちと共有し、時に不快な香りや感覚を発生させてしまうからです。
最後に。
今まで余り公言していなかったのですが、私の音楽はいわゆる現世的に言うところの「作曲」とも「演奏」とも異なる手法で生まれ出て来ます。
今思うことは、音楽の心地よさとか癒し効果よりももっと大切なことは、聴き手の感覚が少しずつ敏感に開化して行くこと。私は常にそのことを願いながら音楽を生み出しています。
なので音楽業界的なヒロインになることを、最初から望んでいません。その為スポンサーも付けず、兎に角音楽の中で最大限、リスナーが感覚的な自由を得られるようになれればオッケーだと思っています。
必ずしも「癒されて欲しい」とも思っていないですし、むしろ癒しではなくもっと険しい感覚にアクセスしている作品も多数あるのですが、その辺りは未だリスナーの方々には認識されてはいないのかもしれません。
なので私の作品を聴いた時に、無理に「癒されました~。」と思わないでも全然大丈夫です。まして涙して泣いて頂かなくても結構です。
その時々で発生する感覚は異なって当たり前。なのでその時心に浮かぶ感覚に忠実に素直に、私の作品に接して頂けたら本望です。
この記事の最後に、私が「木」や「森」の声や思いからインスピレーションを得て配信した作品「Sacred Forest」からオープニングの、「Return to the Forest」をのYouTubeを貼っておきます。
ゆったりとした時間の中で是非、楽しんで下さい。