永遠の闇 [夜活] 残暑の空に、風の歓声が上がる。纏わりつくような闇を、音もなく転がり落ちる壊れた秒針。 一体誰が、この祭の始まりを歓迎すると言うのだろう。 がらんとした街角に佇む僕と、猫。遠い始まりを懐かしむように地球がそっと目を瞑る。さざ波が止む。 全てが終わりそうな、夜の始まりに。
魂の帰還 [朝活] 名もない星が一つ、地上へと降りて行った。神々から許可が下りたので、もう一度そこからすべてをやり直したいと彼女は云った。 若い夫婦が住む家。そこは百年前に最後にいた場所。 誰かの記憶が溢れ出て、若い母親の頬をとめどなく伝い降りて行く。 もうすぐ彼女が還って来る。