前作のYouTube動画『El Caudal』では炎の中に包まれながら愛し合う男女を切々と描いていたが、この描写が何とも官能的なのにかなしさだけが後を引く‥ その感触に不安を感じてならなかった。
ただの官能描写を超えた、人間の生存本能に強くインプレッションして来る何かを感じたのはおそらく、私だけはなかっただろう。
そして日本時間の2023年4月28日に新たに公開されたMonsieur Perinéの新作動画『Prométeme』で、彼等は内なる叫びの全貌を露わにした。
これは今の全ての地球人に向けたメッセージであると同時に、環境破壊の極限がこの星に何をもたらすのかについて予言したものだとも言えるだろう。

動画は静かに、汚染された湖か川岸でMonsieur Perinéの二人が音楽を奏でる場面から始まる。そして場面が緩やかに移り変わり、山荘か山小屋のような場所で二人の男女が激しく愛し合う場面が脈々と長いカットで描かれて行くが、その激しさの根底は「人間の生存本能」を言い表したものだと言って良いだろう。
窓の外は汚染された空気と環境だけが在る世界で、それでもわずかに生き残った人々がその過酷な環境下で生き延びる為に愛し合う。
還る場所はもうどこにもない。
愛し合った後の男女の描き方が、何とも切ない。恐らく何かの使命を負った二人なのだろう、ボンベと酸素マスクを装着し愛の素を出て行く‥。

タイトル『Prométeme』は、和訳で『約束して』と言う意味を持つスペイン語だ。
歌詞を翻訳アプリを使い和訳した。
『Prométeme』(和訳)
約束して
世界が終わっても一緒にいることを
川の水が汚染された海に到達するとき
プラスチックで泳ぐしかし、あなたの側
約束して
君と僕が手を取り合って 政府を打ち倒すことを
そして、この地獄の中で愛を勝ち取る
翼を置く角のあるところ
そして、私たちは夜眠ることはありません
この混沌をムダにしよう
私たちが残したキスで燃えるジャングルで
約束よ 約束‥
約束してあなたが決して離れないことを
約束よ 約束‥
約束してもし人類が滅びたら、私たちは惑星を発明するだろう
気付かないうちに裸で歩き回る
ヒッピーのように
70年代の‥そして、私たちは夜眠ることはありません
この混沌をムダにしよう
私たちが残したキスで
燃えるジャングルで約束よ 約束
約束して‥
あなたが決して離れないことを約束よ 約束
約束して‥
一緒に歌うこと
歌詞のある音楽は、歌詞のない音楽よりもリスナーに強いインプレッションを与えることが出来る。
だがその一方で楽器のみの音楽はこの点がリスキーで、注釈を付けない限りリスナーに作者の思いやメッセージが伝わりにくい側面を持つ。
Monsieur Perinéとは全くジャンルが異なるが、ピアノのみを用いて地球の未来を予言した音楽を多数作曲し、配信しているDidier Merahの場合は、人類絶滅後の地球の光景を複数のアルバムで描いている。
特に配信時のトラブルでタイトルの最後の一文字「t」がまさにホワイトアウトに至った『Whiteout』は、人類が激減の最中に在る現在の地球の光景を描いた作品だ。
この作品には歌詞も楽曲解説も未だ存在しない為、曲を聴いた多くのリスナーが「心地よく眠れる音楽」として楽曲の真意に到達出来ずに居る。
まさに文字通り、とても危険な意味で「眠れる」音楽なのかもしれないが、その眠りに落ちた人々が二度と眠りから覚めない状況に在ることを未だ誰も知らない。
人類は多くの大罪を犯して来た。
環境保全よりも娯楽施設を建設する為の土地開発や森林伐採を、何の悪びれもなくやり続けて来たし、何より静寂と静かな時間を持つべき今も尚イベントやら職業上の理由にかこつけて飛行機や高速爆音型の鉄道を止めようともしない。
その状況をを自然の神々や精霊たちは時間の許す限り黙認し、地球のテクノロジーの進化の時をずっと待ち続けて来たが、彼等・自然神たちは我慢の限界に達したようだ。
日本だけではなく世界のあちらこちらで、大地が唸りを上げている。そう遠くない未来に日本の中心の大地が割れ、この島国の臍から幾つかに島が分断するかもしれない。東京の一部が海に沈むだろう。
全く別件で先日外食した先の中華料理のコックが、伊勢海老や一部の魚介類などのこれまで普通に捕れていた食材が確保出来なくなった‥ と漏らしていた。その為料理のメニューを変更せざるを得ないのだと話していた。
じわじわと迫り来る食糧危機のみならず、例えば原発事故の影響などで汚染された水が日本を覆い尽くして行く頃。
そこにウィルス・パンデミックと殺戮兵器と化したワクチンの強制接種から発した多くの副反応による超過死亡者の急増など、これまで人間が犯して来た罪への最後の審判が下されるタイミングに差し掛かっている。
生き延びられる人々は、現人口のほんの一握りである。周囲の空気に振り回されない人たちだけが、パンデミック後の絶景を見ることになるだろう。
その絶景の向こう側を暗示した作品の一つとして、Didier Merahの『Whiteout』やMonsieur Perinéの新作『Prométeme』が10年後の地球上で、どのような状態で残り続けて行くのか否か、可能ならば私はそれをこの目で見届けたいと思う。
最後になったがMonsieur Perinéの新作『Prométeme』は、さながら古き良き地球を振り返るような曲調に仕上がっている。
ふと、あの名曲『Sabor A Mi』からインスパイアされたのではないか‥ とも思えるし、Monsieur Perinéが過去に同曲『Sabor A Mi』をカバーしている。
では、最後にこの記事のタイトル曲であるMonsieur Perinéの新作『Prométeme』のMVを貼ってお別れしたい。

