【序文】
子供の頃からずっと見続けて来た「光る魚」たちの夢。その夢の彼方に在る記憶の渦が一つ一つ解れて行き、或る現象と検証に辿り着く。これは相手の在ることなので、余り多くを話すことが出来ない。
単なるお伽噺ではないかと言う好奇の目に自分自身を、そして相手を晒すことがあってはならないから。
但し私の放つ言葉が魂の妹『ヒミ』を呼び覚まし、逆に『ヒミ』の生み出す美しい映像の数々が私と『ヒミ』を繋ぎ止めてくれるのだとしたらそれは、言葉よりも尊い暗号や記憶として私達の心にもう一つの現実を描いてくれるのではないかと私は信じて止まない。
新たにカテゴリー『再会 – 光る魚の夢』を作り、時折ここに唐突に私と魂の妹『ヒミ』のことをそれとなく書き綴るかもしれない。それは常に『光る魚』の夢や記憶と連動しながら揺れ動く記憶や現実と折り重なって行く為、本当に唐突な通り雨のようにここに現れては消えて行く。
海の泡のように、そして月夜(実際には月ではない古代の惑星)で満ち潮の真夜中にだけ海面に現れる巨大な古代の魚たちの身体に、暗号のように現れる光の泡の紋様のように私の感覚も時々ここに現れては消え、それを繰り返しながらもう一つの歴史を紡いで行けたら本望だ。

青の世界と『光る魚』の夢の全貌については、未だ誰にも話せない、話したくない、話すべきではない段階。魂の妹『ヒミ』にさえも、全貌は話していない。
昨夜ヒミに音楽の事で質問をされたので全身全霊で回答したら、その後から音信不通になった。
『口は災いのもと』だったとは少しも思わない。
彼女には真実だけを話したいと思ったから尾鰭は鰭は付けずにありのままを述べたのだが、その回答の一言一句を聞いた彼女から『さっきまで同じ夢の中に居た人とは思えない程厳しい意見に凍り付いた。一気に夢から醒めた。』と言われた。
或る件以降毎朝毎日のようにメッセンジャーに届いていたヒミからのメールが、今朝以降ぷっつりと途絶えた。ここで終わりなら今世はこれまでだ。でも彼女との魂の繋がりが本物ならば、絶対にここで終わる筈が無い。
15万年ぶりの再会が、そんな薄っぺらい出来事で終わる筈が無い。15万年ぶりの再会を、こんな薄っぺらい出来事で終わらせてはいけない。
15万年もの間空白無言だった私とヒミ。一日二日の音信不通が仮に今後私たちのどちらかがこの世を去るまで続いたとしても、15万年もの間の離れ離れの魂の旅に比べたら何ってことの無い話だろう。私はその間、長い長い間このストイックな魂から突き放されず、突き放さずにここに居る。ここに来れた。
ヒミが再び青の光の世界に戻って来てくれるまで、私は一人でここを離れずに居る。
リラ星の最期の満月(実際には月ではない別の惑星)の夜に二人で見た『光る魚』たちの霊体の一人が今私の傍に居て、私たちの様子を静観している。彼(彼女)は既に巨体な霊体を持ち、それを維持した神獣となったまま私たちの行く末を見守ってくれている。
現実的には私は暫くの間海へは行って居ないが、感覚や霊体だけをその世界やその場所に移動させることが出来る。だが『光る魚』の神獣は私に場所を指定して来ない。
私の居る場所、私とヒミの居る場所こそが、『光る魚』の神獣の思う『場所』なのだ。そこに神獣はどこからともなく現れる。
私とヒミがリラ星で見た最後の満月(実際には月ではない別の惑星)の満ち潮の深夜のあの時のように、『光る魚』たちは本当は私たちに会う為に危険をおかして崖の傍まで泳いでたどり着こうとした、あの時のことをヒミが忘れる筈はないと信じている。
(※雑記と暗号を兼ねて残すメモ)

