注目曲 “Countach” by 轟はじめ

K-Popの終焉を目前に、2025年1月12日 午前零時に不思議な楽曲がアップロードされた模様だ。
 

『Countach』 by 轟はじめ
Vocal & Choreography (振付): 轟はじめ
Lyrics: 浦島健太
Composed & Arranged: 山元祐介
Mixing Engineer: 片山博文


K-Popのヒール (悪役的な‥の意味) なメロディーメイクに、アラビックなサウンドトラックが折り重なる本作品。
ここで既存のK-Popであればエッジヴォイスを合わせて、より強烈なヒール性を演出するところだが、轟はじめはなんとほぼ99%エッジヴォイスを使わずに歌い切っている。むしろエッジヴォイスを使わない歌い方が、聴き手に新しい時代を感じさせる。

歌唱表現のみならず、作詞/作曲/サウンドトラックも秀逸だ。
作詞を担当している浦島健太氏の名前には見覚えがあり調べてみたところ、なんとあの欅坂46の 『アンビバレント』を作曲している。楽曲そのもののテイストは『アンビバレント』と『Countach』共に同質とみることも出来るが、歌唱表現の点で轟はじめが首一つ二つ勝っていることで、 両方を比較すると『Countach』の方が作曲技術の進化をより色濃く感じ取れる出来栄えだ。
 


サウンドトラック面 (編曲) も良い出来栄えで、通常このテイストのサウンドトラックにはダブステップが必要以上に乱用されることが多いが、『Countach』ではダブステップのエレメントをかなり制御した使い方をしているのが特徴的だ。ダブの持つ独特の汚しや不潔感を軽快に回避した音作りに徹しており、他のダブステップに比べてマインドが汚染された感じがしない。
コード進行もほぼワンコードで構成されており、あっちこっちに意識が引っ張り回されない分、聴いていて疲れない。


一方メロディーメイクの点に於いては同じようなフレーズをリフレインさせながら、各コーラスの最後で一気に一オクターブ音域を上昇させて行く箇所が魅力的だ。
轟はじめも無理なく、最高音の『F』まで余裕で声を上昇させる。地声を張り上げるでもなく、かと言って裏声に完全に声質を変えることもなくその中間の声質で逃げ切るでもなく、普通に音域を締めくくって行く辺りはなかなかのテクニックだ。

私はダンサーではないのでダンス評論はここでは行わないが、最近のK-Popのキレッキレのダンスに辟易しているところにこのサウンドの上に比較的緩~いダンスを無理なく乗せて行く轟はじめの振付センスは流石としか言い様がない。
見ている此方も息切れすることなく、尚且つ歌いながら踊るに無理のない振付けで意外にハイスピード感を出して行く轟の振付センスに、キラリと光るものを感じる。

まさにK-Popの夕暮れと同時に東の空に煌々と輝く夜の朝日を見ているような、不思議な現象はまさに神がかりとしか言い様がない。
 

これまで私はこの種の二次元VTuberと言う領域を回避していたが、この楽曲の出現は希望と次の音楽シーンへの可能性を強く感じさせてくれた。
VTuberで二次元と言う点が今後どう作用して行くかは私には読めないが、この楽曲に於いては間違いなく売れると見ている。

K-Popの侵食で疲れ切った多くの音楽愛好家たちに、新たな開眼の切っ掛けを与えてくれるに違いない。
 


サウンドトラックonlyのバージョンも貼っておきます。
 


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