K-Popとイタリアンポップスの関連性について

この週末の金曜日から少し遅れて昨日の夜、2023年8月4日分の世界の新譜をチェックしながら、私は幾つかのプレイリストの試聴を渡り歩いていた。
最近のもっぱらの推しがNewJeansであることには変わりないが、そんな中偶然イタリアンポップスの女王 Giorgiaの新作 “Senza confine” で暫し作業の手を止めた。
 
少し遅れて2023年8月4日分の世界の新譜をチェックしながら、私は幾つかのプレイリストの試聴を渡り歩いていた。
最近のもっぱらの推しはやはりNewJeansであることには変わりないが、そんな中偶然イタリアンポップスの女王 Giorgiaの新作 “Senza confine” で暫し作業の手を止めた。
 


イタリアンポップス(或いはカンツォーネ)と言うと直ぐに演歌臭い「男と女の恋物語」を脳内想起するカンツォーネフリークが多いのだが、そういう生き物が私は大っ嫌いである(笑)。
 
Giorgiaの新作 “Senza confine” の歌詞をページ翻訳で一旦英語に翻訳し、それをさらに和訳しながら読んでみると、如何にも音楽の歌詞らしく明確な理由付けなど不毛と思える程の抽象的な名刺が並んでいる。
だがこの動画を視ている限りGiorgiaが暗に今の地球や地球環境或いは人類の意識の低下に対する危機感を意図してこの歌詞を書いたのではないかと、うっすらとこの作品の全体像の一端が垣間見えて来る。
 
J-Pop以外のポップスの作品に最近この兆候が強く見え隠れする、そのことに対して多くの人類が鈍感になっていやしないかと私は別の危機感に時折心が震えて仕方がない。
 
サンバやショーロ、その他タンゴからスペインのポップス等の歌詞を紐解いて行くと、激しく燃えるようなビートの彼方に実は悪しき政治体制への批判や人類の朦朧とした意識に対する危機感、さらには人類の滅亡に対する危機感(絶望感)等を意外に素直に表現している楽曲を数多く見掛ける。
例えばコロンビアのアーティスト Monsieur Periné も新曲 “Prométeme” のP/Vを通じて、人類滅亡に対する危機意識や現政治体制へのアンチテーゼを明るいメロディーに乗せて高らかに歌い上げている好い例かもしれない。
 


少し視点をずらして、あのK-Popのグループ “NewJeans” の新作 “ETA” の中身を見てみると、やはり男女関係を通じて少々怖い内容のメッセージが込められていることが分かる。

動画の中の主役は欧米人と思える女性で、彼女の恋人の浮気現場をNewJeans扮する親友5人が彼女たちのライブの最中に目撃すると言う内容になっている。主役の女性は既に恋人を殺害しており、男性の遺体を車で移動する最中の妄想を含めた脳内ストーリーとして動画が進行して行く。
映像や表現形態は異なるが、何れも人の「命」の行方について描かれており、見ていて背筋が寒くなる。
 
実は動画の映像描写だけでなく、イタリアンポップスとK-Popにはコード展開やメロディーメイクにも多数の共通点が見られる。
両者はある種 “トニック” と呼ばれるメインのコード(Ⅰ度)に解決せず、サブコードをうろうろするコードの連携で楽曲が進んで行く特徴が見られる。
Ⅱ度 ⇨ Ⅲ度セブンス ⇨ Ⅲ度マイナー ⇨ Ⅵ度(マイナー)、分かりやすく砕くと、Dm ⇨ E7 ⇨ Emin. ⇨ A7sus4 (A7)‥ と言う感じだろう。
これは今世界中のK-Popフリークをこれでもかと泣かせまくっている新しい王道コードとも言える。それを私は「涙の王道コード」と命名して呼んでいる。
 
トニック(Ⅰ度)には絶対に解決しないコード展開は、どこか現在‥ 絶対に平和な解決に向かおうとしない人類の意識の酩酊状態に似ており、それはJ-Pop以外の多くの世界の音楽で共通項のようにコードプログレッションに用いられている。
 


もっともっと内容を膨らませて綴ることも出来るが、余り話を膨らませ過ぎると焦点が大きくブレてしまいかねないので、早速この記事の最後にNewJeansの新譜 “ETA” ともう一つ、私がずっと気になっているNewJeansのM/V “Ditto” (side B) を掲載しておきたい。
 
これは私の個人的な解釈に過ぎないが、どう逆立ちしてこの動画を視ても私にはこれが「死者の思い出」を描写した内容に思えて仕方がない。
だが多くの音楽ライターやYouTuberがこの “Ditto” (side B) の動画を「思春期の男女が恋愛を成就させる迄のプロセスだ」と話しているのを見ると、何とも心の古傷をかきむしられるようでたまらない気持ちになる。
 

 

[音楽評論] “Prométeme” – Monsieur Periné

前作のYouTube動画El Caudalでは炎の中に包まれながら愛し合う男女を切々と描いていたが、この描写が何とも官能的なのにかなしさだけが後を引く‥ その感触に不安を感じてならなかった。
ただの官能描写を超えた、人間の生存本能に強くインプレッションして来る何かを感じたのはおそらく、私だけはなかっただろう。
 
そして日本時間の2023年4月28日に新たに公開されたMonsieur Perinéの新作動画Prométemeで、彼等は内なる叫びの全貌を露わにした。
これは今の全ての地球人に向けたメッセージであると同時に、環境破壊の極限がこの星に何をもたらすのかについて予言したものだとも言えるだろう。
 


動画は静かに、汚染された湖か川岸でMonsieur Perinéの二人が音楽を奏でる場面から始まる。そして場面が緩やかに移り変わり、山荘か山小屋のような場所で二人の男女が激しく愛し合う場面が脈々と長いカットで描かれて行くが、その激しさの根底は「人間の生存本能」を言い表したものだと言って良いだろう。
 
窓の外は汚染された空気と環境だけが在る世界で、それでもわずかに生き残った人々がその過酷な環境下で生き延びる為に愛し合う。
還る場所はもうどこにもない。

愛し合った後の男女の描き方が、何とも切ない。恐らく何かの使命を負った二人なのだろう、ボンベと酸素マスクを装着し愛の素を出て行く‥。
 


タイトル『Prométeme』は、和訳で『約束して』と言う意味を持つスペイン語だ。
歌詞を翻訳アプリを使い和訳した。
 

『Prométeme』(和訳)

約束して
世界が終わっても一緒にいることを
川の水が汚染された海に到達するとき
プラスチックで泳ぐ

しかし、あなたの側
約束して
君と僕が手を取り合って 政府を打ち倒すことを
そして、この地獄の中で愛を勝ち取る
翼を置く

角のあるところ
そして、私たちは夜眠ることはありません
この混沌をムダにしよう
私たちが残したキスで

燃えるジャングルで
約束よ 約束‥
約束して

あなたが決して離れないことを
約束よ 約束‥
約束して

もし人類が滅びたら、私たちは惑星を発明するだろう
気付かないうちに裸で歩き回る
ヒッピーのように
70年代の‥

そして、私たちは夜眠ることはありません
この混沌をムダにしよう
私たちが残したキスで
燃えるジャングルで

約束よ 約束
約束して‥
あなたが決して離れないことを

約束よ 約束
約束して‥
一緒に歌うこと

 
歌詞のある音楽は、歌詞のない音楽よりもリスナーに強いインプレッションを与えることが出来る。
だがその一方で楽器のみの音楽はこの点がリスキーで、注釈を付けない限りリスナーに作者の思いやメッセージが伝わりにくい側面を持つ。

Monsieur Perinéとは全くジャンルが異なるが、ピアノのみを用いて地球の未来を予言した音楽を多数作曲し、配信しているDidier Merahの場合は、人類絶滅後の地球の光景を複数のアルバムで描いている。

特に配信時のトラブルでタイトルの最後の一文字「t」がまさにホワイトアウトに至った『Whiteout』は、人類が激減の最中に在る現在の地球の光景を描いた作品だ。
 
この作品には歌詞も楽曲解説も未だ存在しない為、曲を聴いた多くのリスナーが「心地よく眠れる音楽」として楽曲の真意に到達出来ずに居る。
まさに文字通り、とても危険な意味で「眠れる」音楽なのかもしれないが、その眠りに落ちた人々が二度と眠りから覚めない状況に在ることを未だ誰も知らない。
 


人類は多くの大罪を犯して来た。
環境保全よりも娯楽施設を建設する為の土地開発や森林伐採を、何の悪びれもなくやり続けて来たし、何より静寂と静かな時間を持つべき今も尚イベントやら職業上の理由にかこつけて飛行機や高速爆音型の鉄道を止めようともしない。
その状況をを自然の神々や精霊たちは時間の許す限り黙認し、地球のテクノロジーの進化の時をずっと待ち続けて来たが、彼等・自然神たちは我慢の限界に達したようだ。

日本だけではなく世界のあちらこちらで、大地が唸りを上げている。そう遠くない未来に日本の中心の大地が割れ、この島国の臍から幾つかに島が分断するかもしれない。東京の一部が海に沈むだろう。
 
全く別件で先日外食した先の中華料理のコックが、伊勢海老や一部の魚介類などのこれまで普通に捕れていた食材が確保出来なくなった‥ と漏らしていた。その為料理のメニューを変更せざるを得ないのだと話していた。
 
じわじわと迫り来る食糧危機のみならず、例えば原発事故の影響などで汚染された水が日本を覆い尽くして行く頃。
そこにウィルス・パンデミックと殺戮兵器と化したワクチンの強制接種から発した多くの副反応による超過死亡者の急増など、これまで人間が犯して来た罪への最後の審判が下されるタイミングに差し掛かっている。
 
生き延びられる人々は、現人口のほんの一握りである。周囲の空気に振り回されない人たちだけが、パンデミック後の絶景を見ることになるだろう。
その絶景の向こう側を暗示した作品の一つとして、Didier Merahの『Whiteout』やMonsieur Perinéの新作『Prométeme』が10年後の地球上で、どのような状態で残り続けて行くのか否か、可能ならば私はそれをこの目で見届けたいと思う。
 

最後になったがMonsieur Perinéの新作『Prométeme』は、さながら古き良き地球を振り返るような曲調に仕上がっている。
ふと、あの名曲『Sabor A Mi』からインスパイアされたのではないか‥ とも思えるし、Monsieur Perinéが過去に同曲『Sabor A Mi』をカバーしている。
 


では、最後にこの記事のタイトル曲であるMonsieur Perinéの新作『Prométeme』のMVを貼ってお別れしたい。