2024年12月6日、中山美穂さんが亡くなられました。
あらためて、中山美穂さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
2023年9月9日、少し遅ればせながらの今週末の新譜チェックを開始。
秀作が少ない中昨夜はクリス・ボッティのジャズの負のトラップにハマり、今日は中山美穂とNight Tempoのコラボ新作 “Ninna Nanna” にまたまた足を取られる格好に。
あっちこっちとぶつかりながら、世界の新譜チェックは粛々と進んで行く。障害が多い程燃えるのが私。ただでは起きない。

楽曲 “Ninna Nanna” 、イタリア語で「子守歌」の意味の言葉だが、彼女が歌う “Ninna Nanna” は何とEDMのTopにヴォーカルをくっつけたようなリズム・ミュージックだ。
作曲は又してもお隣韓国の Night Tempo の手によるもの。歌詞は中山美穂。
よく聴くとヴォーカルはオババ声で、途中何か所も声を震わす低音の「オババヴォイス」が炸裂する。
冒頭の「マンマ」はヴォーカルをわざと震え声に加工したようにも聴こえるが、その辺りも魅力的な「オババヴォイス」にリスナーを心地好く騙すテクニックとしてあえて捉えよう。
歌詞が又良い。
遠い遠い国のあるところに
Ninna Nannaを歌う 蝶々がいました
悲しみの先で 待ってくれる
パパパピヨン
揺れるマグノリア
マンマの夜空に走る列車
Uh 夢の彼方 胸の奥
“Ninna Nanna” 歌詞 より
流石小説家の元/ 妻だけあって、中山美穂の詞のセンスは今も冴えている。
こうやって仮に昔のアイドル歌手であったとしても、自分の言葉で表現することは貴重な体験だ。リスナーにとっても、表現者自身にとっても。
一方作曲者 “Night Tempo” は兎に角多才で憎ったらしいお隣韓国のDJ & プロデューサーで、勿論作曲もお手の物だ。
今世界をブイブイ言わせているK-Pop流王道コードで、クール女子の涙腺を甘々に徹底的に攻めて来る。この奇襲に遭ったらおそらく誰も逃げられない。
最近のオススメの一曲が此方、“Silhouette” (feat. 土岐麻子) だ。
勿論その他にもかなりアップテンポの “New Romantic (feat. Maki Nomiya)” みたいな作品も手掛けており、渋谷系に精通している音楽リスナーにとってはたまらない人選だ。
だが私の好みでは、こういうアップテンポの曲よりも若干速度を落としたDown Tempoな楽曲の方が、Night Tempoらしさがキラリと光るような気がする。
とは言ってみたものの、よくよく聴いてみると “New Romantic (feat. Maki Nomiya)” と中山美穂が歌う “Ninna Nanna” はほぼ同じ速度だった。
中山美穂の歌い方のせいなのか、若干楽曲がまったりと聴こえる辺りも美穂マジックなのだろう。
美穂の歌い方の特徴として、母音がよく響くので Maki Nomiya (野宮真貴) の子音だけをアタックで響かせて切って行く歌唱法と比較すると、中山美穂のレガート歌唱スタイルの方が韻が長く鼓膜に余韻として留まってくれるのではないか。
それにしても声帯のしわがれ感を躊躇なくマイクに乗せて歌い切った “Ninna Nanna” が、中山美穂の若かりし頃の歌声よりも断然印象が強く鼓膜の奥底に残り続ける辺りは、ある種の高齢歌手のしぶとさよ、強みよ‥。
私もほぼ同世代として声高らかに勝利の雄叫びを上げたい気分だ。

そして日本の昭和のシティー・ポップを徹底的に研究しまくり、そこに二次創作的エッセンスを足して盛って新作のシティー・ポップさながら世に送り込んで来る “Night Tempo”様には、流石の私も抗えない(笑)
だが今に見ていなさい。
日本からも最強の音楽家が既に世界の中心に到達していることを、あなたも知る時が来るのです。
その時まではそっと世界の中心の静かな部屋の中から、あなた方の進化を応援し続けようと思う。
嗚呼それにしても中山美穂がささやく「パパパピヨン 眠るマグノリア」‥の最後の「ア」の先に「ン~」が余韻に残るから、「マグノリアン」‥と甘えられているみたいに聴こえて仕方がない。
このまま回るピンクのベッドにもつれ込んでも、今夜ならばきっと何の後悔もないだろう。

