タイトルの「E penso a te」はイタリアは Lucio Battisti が1972年に生み出した有名なカンツォーネで、カンツォーネを愛する多くの歌手たちにカバーされている。 今回はイタリア人ではなく、ブラジル人歌手: Lica Cecato のヴォーカルを背後からイタリア人ピアニスト: Carlo Morena がしっかりと支えて音楽を編み込んで行く。
音楽や歌詞は多方向からそれを見比べることで、これまでにはない新たな発見をすることがある。 だがこの作品「E penso a te」を不倫の歌詞から同性愛者の心情を切々と歌った歌詞として再解釈しながら聴き返すと、この作品の根底を脈々と流れて行く深く険しくいたたまれない表現の根源に触れることが出来るだろう。
最後になったがMonsieur Perinéの新作『Prométeme』は、さながら古き良き地球を振り返るような曲調に仕上がっている。 ふと、あの名曲『Sabor A Mi』からインスパイアされたのではないか‥ とも思えるし、Monsieur Perinéが過去に同曲『Sabor A Mi』をカバーしている。
そんな彼女 Silvia Pérez Cruz(シルビア・ペレス・クルス)が2023年3月3日に配信した動画 『Nombrar es imposible』 がとても美しい。
『Nombrar es imposible』 のMVは、ハバナ(キューバの首都)を舞台に繰り広げられる。 忙(せわ)しさとは一線を画したこの動画の中の時の流れが、兎に角心地好い。少しノスタルジックにカラグレされた動画の彼方には今ではない、どこか過去の思い出の中にしか存在しないような海や街の風景が広がって行く。
‥と言うことで、この記事の〆には原作者 アンリ・サルヴァドールの原曲を新たに再編曲 & リマスタリングされたと思われる『Cherche la rose (Remasterisé en 2021)』をシェアしたい。 ここは好みが分かれるところだが、どこかしこにここ数年世界的に大爆発傾向にあるシティポップのエッセンスを足したような、ライトなニュアンスが私は好きだった。
Japanese R & Bの創造神と言っても過言ではなかった吉田美奈子氏が、最近は別の人が書き残した楽曲のなぞり返しを繰り返している。 多くの美奈子フリークの中には恐らく、若かりし頃の饒舌な彼女の音楽がしっかりと根付いている筈だ。それを老いた吉田美奈子がジャズやシャンソンで上書きしようともがいているようだが、所詮他人の作品を再演している以上原曲や原曲者を超えることは不可能だ。