この夏、私の身に起きたことを一言で説明することはとても難しい。そしておそらくそれらを唐突に聞かされた人たちは先ず、私の話を信じる前に私の精神状態を疑い、案ずることしか思い浮かばないだろう。
1. 事の始まり
その事が一体いつから始まったのか、私にさえ分からない。だが、その状況が断続的に形を変えながら私の身に迫って来たと気付いたのは、今年の7月に入った時だっただろう。
最初は単なるビールの呑み過ぎによる目まい、動悸のような状況からそれは始まった。街のお蕎麦屋さんで(夫婦で)軽い祝杯を上げ、私はビールをジョッキ(大)一杯に少しだけの日本酒を呑み、鴨肉の漬け汁蕎麦と穴子の天麩羅を一本胃袋に仕舞って小一時間ゆっくりと過ごし、ゆったりと立ち上がった時に視界を失った。
昼間なのに目の前が真っ暗闇になり、今自分がどこをどのように歩行しているのかさえ分からなくなり、夫の腕につかまったまま先ず座れる椅子だけを目指して向かって行き、ベンチに腰掛けた。すると視界はすっと昼間の状態に戻り、動悸も治まって来たので再び歩き出すと、又も目の前が真っ暗になり耳鳴りが始まった。
二度あることは三度ある、そう思いながら目的の喫茶店に入り席に座ると三回目の動機、そして視界の暗闇が始まった。胸が苦しく、どうしていいのか分からなくなったので夫の肩を枕に少し目を閉じた。
そして私はその時気付いた。
これは圧に違いない。しかも誰か、とても身近な人の執念(怨念と言った方が近いだろう)の詰まったものがそれを引き起こしているのではないかと。
5分から10分間深呼吸をしながら少しだけ、現実から意識を遠ざけた。すると段々と症状が治まって来て、私はようやく目の前のチョコレートケーキとコーヒーに口を付けることが叶った。
2. 骨折
今回アルバム『Wa Jazz』を始めるにあたり、私は何となく胸騒ぎを感じていた。それは人がもたらす好からぬ思いに留まらず、私が未だ経験したことのない種類の不安が心に深い影を落とし続けた。
7月の初めに私は一度倒れかけているので、そこからは毎日ただただ過剰なまでの用心を重ねながら日々の暮らしに集中していた。そんな折り、二度目の「好からぬ、とても不可思議なこと」が起きた。
正確な日付を記憶していないが、おそらく7月23日から25日のどこかの平日の夕方の買い物中の、それは不可解な出来事だった。
いつものように自転車を漕ぎながらスーパーの駐輪場に自転車を留め、買い物をしてから同じコースを引き返す道すがらの街の通りで、私は再び視界を失った。午後の、まだ明るい時間帯なのにも関わらず私の視界は真っ暗になり、不安になった私はそこで一旦自転車を止めて近くの木の切り株に腰掛けようとした時、右足の踵の骨が言うことをきいてくれなくなったことに気が付いた。
骨折したかもしれない…。直感的にそう思った。
2002年の春に私は一度、反対側の踝の骨を折っており、その時と同じ感覚が今回は右足に生じたのでそう感じた。立ち上がる度に膝がゲラっと笑ってよろつくので、ヨタヨタしながら夫にはそのことを暫く伏せていたが流石にそうも言ってられなくなった。
松葉杖を私は上手く使いこなせない。病院に行けば絶対に松葉杖を勧められることが分かっていたので、少し考えて今回はよくよく安静に、骨が完全にくっつく迄の時間を約三ヶ月間と想定しその期間の外出を全面的に(必要最低限にとどめて)控えることに決めた。
結局病院には行かなかった。
3. 遠い星からもたらされた、機械的な圧(妨害圧力)
二度あることは三度ある。この言葉が現実になるとはゆめゆめ思わなかったし、むしろそんなことにはならずに済むようにと、祈るような夏を過ごしていた。
今年は兎に角猛暑で日々の買い物もなかなか大変だし、買いだめをしても野菜が直ぐに傷むわ食材が湿度を帯びてダメになるわで、兎に角主婦業に苦戦を強いられ続けた。
レコーディングについての全ての情報発信を控えたのは、最初に書いたことに不安と不穏を感じたからであり、特に「和」の神髄の音楽の記録を試みる今回の企画には何かしら見えない者々たちからの妨害もきっとあるだろう… と、薄々予感はしていたが、これ程酷いことになるとは思わず私は8月お盆期間中のレコーディングの日にちを息をのむようにしながら静かに迎えることにした。
だが、その静けさは又もや、別のかたちでの圧によって完全に打ち砕かれた。
そもそも私は53歳で寿命が尽きるかもしれない、と、かつて3人のジプシーの占いがそう言ったことをとても慎重に受け止めており、まさに今年がその時にあたるので全ての物事を大切に、ゆっくりと進めて行くことに決めていた。
だがゆっくりと… とは言うものの、それを止めることが出来ないのが、使命を持つ者の宿命。私にとって音楽がそれにあたり、特に今回の企画『Wa Jazz』は制作期間よりも納品のタイミングが先に決まっていたと言っても過言ではない。
そのタイミングに合わせて、私はこれまで私の経験上最強最悪の呪詛を、まして地球ではなくもっともっと遠い星に住む人によってもたらされた。
その星のことは折に触れ情報を得たり、時には夫と夜が明けるまで話し込んだり…と、私の中ではとても魅力的で知的な人々の住む星だと聞かされており、私も2018年8月10日のその時まではそう信じていた。
8月10日、夜。食事の支度をしましょうか、と言って立ち上がろうとした時、私は再び視界を失った。
部屋には電気が付いており、夫も傍にいたが、私も夫も(おそらく)同じ痛みを頭部に感じていた。
それはまるで機械で頭をグイグイと締め付けられるような痛み。頭蓋骨が割れる寸前まで私たちは苦しめられたが、それが遠い星の人の手によるものだとはっきり分かったのは、夫がその行為を遮る怒鳴り声をキャッチしたからだった。
━ 詳細はここでは省略して綴ります。
長文なので、次ブログに続けます。