クラシック界の新進気鋭・藤田真央を分析する

このところ何かとクラシック音楽界を賑わせているこの人、藤田真央と言う名前を頻繁に見掛けるので遂にYouTube~Spotifyの音源を聴いてみた。

先ず率直に聴いた感想を述べてみると、一言で言うと音楽表現が幼稚だ‥ と言う一点に尽きる。
まさかこの人がまだ幼気な子供だったらと言う懸念もあり慌てて藤田真央氏のプロフィールを捲ってみたが、どうやら成人式を迎えたばかりの年齢には到達している事が判明。ならば一人の大人の演奏家・表現者としてのジャッジメントを加えても良かろうと言う判断に至り、この記事を書いている。
 

音楽ライター・高坂はる香と言う人がTwitterでやたら藤田真央を褒めちぎっていたので、どうにも気になったことが切っ掛けで色々私まで彼の音源を追い掛ける羽目に陥ってしまったが、正直時間の無駄だったかな‥ と後悔している(笑)。
 

  
やはり人の言葉はアテにならない。‥と言うより、高坂はる香が「音楽ライター」であって「音楽評論家」ではなかった‥ と言う点をうっかり見落としていた私がいけなかったのだ。
こういうところはしっかりと、見落とし・抜かりなく精査しなければならない。

高坂はる香のTwitterのTLで紹介されていたのが、以下のYouTube。どうやら2022年1月19日(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホールで開催された藤田真央のピアノリサイタルのダイジェストから、ショパンのバラード 第三番の一部だ。
 

 

良く言えば「個性的」だが、裏を返せば身勝手で作曲者: ショパンを全く無視した浅はかな亜流解釈のショパンと言っても良いだろう。
コメント欄にも「賛否が分かれるだろう‥」と言ったような内容のコメントが散見されるが、こういう遠慮がちなコメントではなくはっきりと「これはショパンでも音楽でも何でもない!」と言えないのは、受け身体質の強い日本人の弱さでもあるだろう。

(藤田真央の楽曲の)解釈が断片的で、一個の音楽として楽曲を俯瞰出来ていないし、しかもそのくせやったりげな表情で人格者を演じているのが余りにも滑稽で、絵的にも見ているのが辛くなる。
これはクラシックの演奏家に多いパターンで、なぜかドヤ顔でやったりげで崇高な人格者を顔芸で演じてしまう人達が多いのは、何を隠そう彼らの知性と自信の無さの顕れなのだと私は思っている。

そもそも作曲者の意図や感性を超えた演奏家(再演者)自身の個性等、全く以て不要である。
この点を勘違いし、「自己の新たな解釈」を無謀に加えたがる再演家が、まだまだクラシック音楽界に蔓延しているのが現状とも言えるが、この傾向は出来れば全てのクラシック音楽の演奏家達が早々に脱却しなければならない大きな課題の一つである。

付け加え、高坂はる香のような安易に勝ち馬に乗りたがるタイプの音楽ライターが、表現の稚拙な若い表現者をやたら持ち上げるこの状況にも大いに問題を感じる。
あくまで業界関係者や世論が今誰に注目しているか‥ と言う流れに上手く乗って、自分自身の感性とは全く関係のない、あくまで売れ線演奏者のCDやコンサートチケットの売り上げに貢献することだけを目的とした音楽評論もどきを見抜けない、一般のリスナーの罪も深い。
 

 
話しを藤田真央に戻そう。

藤田真央のWikipediaに掲載されている略歴を見るかぎり、多数のコンクール受賞歴があり、日本国内のTV番組にも多数出演する等、年齢と職歴が反比例するような状況だ。

だが気を付けなくてはならない点は、あくまで藤田真央は未だ演奏者としては未開の地であり、尚且つそうした学習を要しない程の突出した才能に恵まれているわけではないと言う現実を彼が抱えていることだ。
藤田真央はあくまで平凡な商品であり、それ以上でも以下でもないと言う点を的確に見抜く音楽評論家やマネージャーが付かない限り、あっと言う間に天狗になり、あっと言う間にこの世から消されることにもなりかねない。

余生は一部の熱狂的なファンに囲まれ、それなりに幸せな演奏家生活は全う出来るだろう。勿論それだけで満足であれば言うこと等何も無いが、そんな状況をみすみす放置しているだけでは、日本から音楽史や世界史に名を刻む芸術家は生まれないだろう。
 

普遍の表現、圧倒的なまでの音楽解釈力、美しい音色、そしてそれが音楽であることすら忘れさせるような圧倒的な演奏能力、最低でもこの4つの才能を持たなければ歴史に爪痕は残せないだろう。
尚且つ演奏家の宿命は、「再演を続ける」ことだけに忙殺され、没後50年も経過すれば殆どの演奏家はこの世から消えて行く運命を背負っていることである。

やはり歴史に名を刻む為には、演奏者(表現者)自らが音楽を生み出すことが必須である。身も蓋も無い話しだが、これは真理と言っても過言ではないだろう。

 
このところ私自身が公私共に多忙になり、今日はここで執筆を終わりにしたい。この記事の最後に正直言って「何てことをしてくれたんだ!」と怒りキレそうなまでに、私の大好きなこの作品(『亡き王女のためのパヴァーヌ』)を穏やかに崩壊させてくれた、藤田真央のこの音源を貼っておきたい。
 

 

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