[音楽評論] INI – “Password” / 衰退を始めたK-Popとそれを真似るJ-Pop

かねてから超絶なダンス力で日本国内をブイブイ言わせていた男性韓流式EDMユニット「INI」が、3rd シングルPasswordをリリースした。

既に2022年4月にリリースされているCALL 119で圧倒的なパフィーマンスに次いで、優れた楽曲(勿論音楽陣営の力)に注目していた私は半ば楽しみに3rd シングル「Password」のPVを拾いに行ったが、正直なところお話しにならないぐらい表現が緩く怠く、アウトラインがブレたようなような印象を持った。
 

 

どうしても韓流EDMユニットと言えば思い付くのが東方神起。
印象的な一曲を挙げるとすればやはり、Why? [Keep Your Head Down]一択だろう。この作品については楽曲・構成・速度・振り付けから演出まで全てが秀逸で、ブレがない。
 

  
勿論両者は見比べるものではないことなど重々承知だが、楽曲やコンセプトがかなり類似しているので、プロジェクトとしては「どうぞ見比べて下さい。」と言う暗黙のメッセージ(企業戦略)が込められているように見えて仕方がない。
むしろそうやって「INI」と言うユニットのイメージを東方神起のパワーにあやかって印象操作をし、視聴者やファン層に混線を引き起こすことを「INI」のブランディングに利用したかったと見て間違いない。
 

だが如何せん、東方神起は韓流男性EDMユニットの中で超越している。ダンスを例に取れば、動きが止まった時のストップモーションのBodyのアウトラインは、マイケル・ジャクソンに引けを取らない。
ダンスに於いて最も難しいのがこの、ストップモーションのポージングだ‥ と言うことは、私がかつて深く関わっていた5人組のダンス・レッスンでも滾々と聞かされたので今でも忘れることが出来ない。

その意味では「INI」は全てに於いて、緩すぎる。と言うよりだらしがない印象が強い。
生活自体が恐らく緩慢で、普段の動作に於ける注意力が散漫なのかもしれない。それがダンスやヴォーカル力、全体の印象に悪い意味で見事に反映しており、楽曲のシャープさが冴えれば冴える程露骨に欠点として表れてしまう。

プロデュース陣はこの事に、おそらく気が付いていないだろう。もし気が付いているとしたら3rd シングルPasswordは明らかに選曲・企画ミスであり、万が一この楽曲をシングル化・PV化するのであればもっと彼等の全てをシェイプアップする必要が生じた筈だ。
 

  
この、何をやっても何処を見ても、何処から切り取っても「ポワン」とした線の緩さを修正しない限り、「INI」がどんなにアクロバティックなダンスを今後披露したとしても売れ線には乗っては来れないだろう。
メンバーの誰一人がけして肥っているわけではないのに、正直これは見ている側が頭を抱え込む程の残念感・倦怠感しか印象に残らない。

売れたいから歌を歌い、ダンスを踊る。これではダメなのだ。
 
何に向かって語り掛け、何に問題意識を感じ、何を祈りながらその課題に取り組むべきか、何よりがむしゃらさが「INI」から全く感じられないのに背景だけをシャカリキに作り上げたところで、全ては逆効果だ。
 

何より彼等は生粋の日本人であり、韓流風に寄せて真似て作り上げているところが大問題だ(笑)。
そうでもしなければ今の日本のポップスでは勝負が出来ないのか、むしろ韓流に企画や演出を寄せれば寄せる程日本の音楽シーン或いは芸能界自体の劣化を世界に露出することになりかねないので、運営陣はその辺りにもかなり注意を払って今後の企業戦略を練る必要があるだろう。
 

とは言え、そもそもが韓国のオーディションで開拓された日本人による韓流風男性EDMユニットなわけだから、最初っから「物マネ」を使命に背負って生み出された模造品には違いない‥。
 
 

IVE Rei

  
若干話題から脱線するが、最近私が注目しているのが韓流女性グループ「IVE」のラップを担当しているReiさんだ。
彼女も生粋の日本人だが、日本語は勿論韓国語と英語の合わせて三ヶ国語で華麗な今どきのラップを披露してくれる。そのラップのリズム感がシャープでタイトでよどみがなく、ラップに合わせた体の線や動きが悉く美しい。

この記事の〆に、彼女のラップのショート動画「Hiiigh (English ver.)」と、同じ曲の三ヶ国語バージョンの両方を貼っておく。